簿記3級の試験内容は「60分・大問3問・100点満点」
日商簿記3級の試験内容は、細かい論点に入る前に枠組みを押さえるのがいちばんの近道です。枠組みは4つの数字に集約されます。試験時間60分、大問3問、100点満点、合格点70点。この4つはネット試験でも統一試験でも共通で、回によって変わることもありません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験時間 | 60分(2021年度から。それ以前は120分) |
| 問題数 | 大問3問(第1問・第2問・第3問) |
| 満点 | 100点(45点+20点+35点) |
| 合格点 | 70点以上。大問ごとの足切りはない |
| 出題分野 | 商業簿記のみ(工業簿記は2級から) |
| 電卓 | 使用可(関数電卓・音の出るものは不可) |
合格の条件が「合計70点」だけで、大問ごとの最低点が設定されていないことは、試験内容を読むうえでとても重要です。第2問を丸ごと落としても、第1問と第3問で80点分あるので合格の余地は残ります。つまり3問すべてを均等に仕上げる必要はなく、配点の大きいところから確実に取る戦略が成り立つということです。配点の細かい内訳は簿記3級の配点で詳しく扱っています。
もうひとつ押さえたいのが、試験内容が商業簿記だけで構成されていることです。2級から加わる工業簿記(原価計算)は3級の範囲には一切含まれません。3級が想定しているのは小規模な株式会社の経理で、商品を仕入れて売る取引を記録し、1年分をまとめて決算書にするまでが対象です。範囲の全体像は後の章で論点マップとして整理します。
電卓の持ち込みは認められています。ただし使えるのは四則演算が中心の一般的な電卓で、関数電卓、印字機能つきのもの、音の出るもの、プログラム機能つきのものは使えません。ネット試験の会場では電卓のほかに計算用紙と筆記用具が貸与され、自分の筆記用具は持ち込めない場合があります。
第1問の試験内容 — 仕訳15題で45点
第1問は仕訳問題が15題出て、1題3点の45点という構成です。3問のなかで配点が最大であり、しかも解き方がいちばん安定しているため、簿記3級の試験内容のうち最優先で仕上げるべきパートです。ここで40点前後を確保できるかどうかが、合格ライン70点に届くかどうかをほぼ決めます。
出題のされ方 — 取引文を読んで借方と貸方に振り分ける
1題は「商品80,000円を仕入れ、代金は掛けとした」のような短い取引文で与えられます。受験者はこれを借方と貸方に分解し、勘定科目と金額を答えます。勘定科目は自由記述ではなく、問題ごとに提示された選択肢(統一試験では記号、ネット試験ではプルダウン)から選ぶ形式です。科目名を漢字で正確に書ける必要はなく、正しい科目を選べればよいという点は、はじめて受ける人が誤解しやすいところです。
1題あたりにかけられる時間は1分弱です。取引文を読んで数秒で仕訳の形が浮かぶ状態まで練習を積んでおかないと、後半の大問に時間を残せません。仕訳そのものの考え方は簿記3級の仕訳で基礎から解説しています。
どんな取引が出るか
15題の内訳に決まりはありませんが、出題される取引は3級の範囲全体からまんべんなく選ばれます。頻出のものを挙げると次のとおりです。
- 商品売買 — 仕入・売上・返品・仕入諸掛・掛け取引・クレジット売掛金
- 現金預金 — 現金過不足、当座預金、当座借越、小口現金
- 手形と貸付・借入 — 約束手形の振出と受取、手形貸付金、利息の計算
- 固定資産 — 建物や備品の購入(付随費用を含む)、売却、減価償却
- 債権債務 — 未収入金と未払金、前払金と前受金、立替金と預り金、仮払金と仮受金
- 税金 — 租税公課、法人税等、消費税の税抜処理
- 純資産と決算 — 資本金、繰越利益剰余金、損益振替
- 訂正仕訳 — 誤った仕訳を打ち消して正しい形に直す
このうち受験者が落としやすいのは、現金過不足の処理、仮払金や仮受金の精算、そして訂正仕訳です。いずれも「一度記録したものを後から直す」という二段構えの処理で、取引文の読み取りを一段深くする必要があります。
部分点がない — 1題は当たりか外れか
第1問で注意したいのは、1題単位の採点で部分点が付かないことです。借方は合っていて貸方の科目だけ間違えた場合、その3点は入りません。つまり第1問は「15題中何題を完全に正解できるか」の勝負であり、あいまいな理解のまま数をこなしても点に結びつきません。逆に言えば、確実に解ける論点を1つずつ増やしていけば、その分だけ素直に得点が伸びるパートでもあります。
第2問の試験内容 — 勘定記入・補助簿・伝票から2題で20点
第2問は20点分を2題(おおむね10点ずつ)で分け合う構成です。3つの大問のなかで最も出題の振れ幅が大きく、回ごとに何が出るか読みにくいパートでもあります。試験内容としてはここが「守り」の位置づけで、満点を狙うより取れる小問だけ拾って撤退する判断が必要になります。
出題される題材のバリエーション
第2問で問われるのは、仕訳を切った後の帳簿の姿です。代表的な出題パターンを整理します。
| 題材 | 問われること |
|---|---|
| 勘定記入(総勘定元帳) | 特定の勘定の空欄に、日付・相手科目・金額を埋める |
| 補助簿の選択 | ある取引がどの補助簿に記入されるかを○×で答える |
| 補助簿の作成 | 商品有高帳・売掛金元帳・現金出納帳などを完成させる |
| 伝票会計 | 3伝票制で起票する、または伝票から仕訳日計表を作る |
| 語群からの選択 | 簿記の用語や金額を、与えられた語群から選んで文章を完成させる |
なかでも勘定記入は毎回のように顔を出す定番です。総勘定元帳の書き方そのものは総勘定元帳で扱っていますが、試験で問われるのは「開始記入」「相手科目の書き方」「次期繰越と前期繰越」といった、締め切りまわりの決まりごとを守れるかどうかです。とくに経過勘定(前払費用・未払費用など)がからむ勘定記入は、期首の再振替仕訳から順に追わないと空欄が埋まりません。
部分点が効くので「拾える小問だけ拾う」
第2問は第1問と違い、解答欄ごとに部分点が付きます。10点の小問を完全に正解できなくても、埋められた空欄の分だけ加点されます。この性質を踏まえると、第2問の正しい向き合い方は「わかるところだけ確実に埋めて次へ行く」ことです。ひとつの空欄が埋まらないからといって粘ると、配点35点の第3問に手をつけられないまま試験が終わります。
対策の優先度は3番目でよい
第2問は範囲が広いわりに配点が20点しかなく、学習の費用対効果はどうしても低くなります。したがって第1問と第3問を仕上げてから着手するのが合理的です。ただし完全に捨てるのは危険で、補助簿の選択問題や語群選択のように、知識があれば数十秒で埋まる小問も混ざっています。範囲を絞って触れておくだけで、5点から10点は安定して拾えるようになります。出題パターンごとの解き方は簿記3級第2問にまとめてあります。
第3問の試験内容 — 決算(精算表・財務諸表・試算表)で35点
第3問は1年分の取引を締めて決算書の形にするまでを、35点の大問1題で問うパートです。第1問に次ぐ配点であり、しかも出題の型が3つに絞られているため、対策の効果がはっきり出ます。第1問45点と第3問35点を合わせた80点が、簿記3級の試験内容の主戦場です。
出題される3つの型
第3問で作らされるものは、次のいずれかです。
- 精算表 — 決算整理前残高試算表に修正記入を加え、損益計算書欄と貸借対照表欄まで書き上げる
- 財務諸表 — 損益計算書と貸借対照表そのものを作成する。表示上の科目名(売掛金に対する貸倒引当金の控除形式など)まで問われる
- 決算整理後残高試算表 — 決算整理を反映した後の試算表を完成させる
どれが出ても、解答者がやることは同じです。与えられた決算整理事項を1つずつ仕訳に直し、それを前段の金額に足し引きして、指定された表の欄に書き込む。表の形が違うだけで、途中の思考は共通しています。だからこそ第3問は「3つの型を別々に覚える」のではなく「決算整理の仕訳を確実に切れるようにする」ことが対策の本体になります。精算表の書き方そのものは簿記3級の精算表で扱っています。
決算整理事項として出るもの
問題文に並ぶ決算整理事項は、ほぼ次の範囲から出ます。
| 決算整理事項 | 処理の中身 |
|---|---|
| 売上原価の算定 | 期首商品棚卸高と期末商品棚卸高を仕入勘定で振り替える(いわゆる「しくりくりし」) |
| 貸倒引当金の設定 | 売掛金・受取手形の期末残高に実績率を掛け、差額を補充する |
| 減価償却費の計上 | 定額法。期中取得なら月割計算 |
| 費用収益の見越し・繰延べ | 前払費用・前受収益・未払費用・未収収益の経過勘定 |
| 現金過不足・仮勘定の整理 | 原因不明分を雑損・雑益へ、仮払金・仮受金を正しい科目へ |
| 貯蔵品への振替 | 未使用の収入印紙や切手を貯蔵品に振り替える |
| 当座借越の振替 | 貸方残高の当座預金を負債に振り替える |
| 法人税等・消費税の計上 | 未払法人税等、仮受消費税と仮払消費税の相殺 |
この一覧が、第3問の試験内容のほぼすべてです。数は多くありませんが、1つの整理事項が精算表の複数の欄に波及するため、途中でひとつ間違えると当期純利益まで芋づる式に狂います。ただし第3問も解答欄ごとの部分点なので、最後の利益額を外しても、正しく埋まった欄の点は残ります。決算の全体像は簿記3級の決算で確認してください。
時間を最も食うのは第3問
第3問は資料を読む量が多く、集計にも時間がかかります。目安として25分前後を見込んでおく必要があります。60分のうち4割強をここに使う想定になるため、第1問を早く終わらせて第3問に時間を渡す配分が定石です。
出題範囲は商業簿記だけ — 論点の全体マップ
簿記3級の試験内容の範囲は、日本商工会議所が公表している出題区分表で定められています。3級の欄に書かれているのは商業簿記だけで、工業簿記(原価計算)は2級から加わります。想定されている企業像も明示されており、小規模な株式会社の経理を担当できる程度の知識が3級の到達点です。個人商店ではなく株式会社が前提になっているため、資本金や繰越利益剰余金といった株式会社特有の科目も範囲に含まれます。
範囲を頭に入れるときは、論点をばらばらに暗記するのではなく会計期間の流れに沿って3つのブロックに分けると迷いません。日々の取引を仕訳する「期中」、決算日にまとめて調整する「決算整理」、そして最後に作る「決算書」です。第1問は主に期中の取引から、第3問は決算整理と決算書から出題されます。
範囲に入っていないもの
「どこまでやればよいか」は、入っていないものを知ると輪郭がはっきりします。3級の範囲外で、2級以上に回されている代表的な論点は次のとおりです。
- 工業簿記・原価計算のすべて(材料費・労務費・製造間接費・総合原価計算など)
- 有価証券の売買と評価
- 連結会計、本支店会計、外貨建取引
- 減価償却の定率法・生産高比例法(3級は定額法のみ。ただし2027年度から定率法が加わる)
- 圧縮記帳、リース取引、税効果会計、退職給付引当金
- 株式の発行にともなう資本金以外の処理(資本準備金など)
市販のテキストは3級用に範囲が絞られているので、テキストどおりに進めていれば範囲外に踏み込むことはまずありません。注意が必要なのはインターネット上の解説記事や動画で、2級の内容が混ざって説明されていることがあります。迷ったら出題区分表という一次情報に戻るのが確実です。区分表は商工会議所の検定サイトで公開されています。
ネット試験(CBT)と統一試験で試験内容は違うのか
簿記3級は、会場でパソコンを使って受けるネット試験と、指定日に紙で受ける統一試験の2つの方式で実施されています。「ネットのほうが簡単らしい」「ネットは試験内容が別物では」といった話を耳にした人も多いはずですが、結論から言えば試験内容そのものは同じです。どちらも同じ出題区分表にもとづき、大問3問・60分・100点満点・合格点70点という条件も共通しています。
同じもの・違うものを分ける
| 項目 | ネット試験 | 統一試験(筆記) |
|---|---|---|
| 出題範囲・大問構成・配点 | 同じ(第1問45点・第2問20点・第3問35点) | |
| 試験時間・合格点 | 同じ(60分・70点) | |
| 解答方法 | 画面に入力・プルダウンで科目選択 | 解答用紙に手書き |
| 実施日 | テストセンターの空きがあればほぼ毎日 | 年3回(6月・11月・2月) |
| 結果 | 終了直後に画面とスコアレポートで判明 | 後日、商工会議所ごとに発表 |
| 問題の持ち帰り | できない(問題は非公表) | できる回がある |
つまり違うのは受け方と結果の出方だけで、問われる知識は1ミリも変わりません。ネット試験の申し込みから当日の流れまでは簿記3級のネット試験で詳しく解説しています。
試験内容が同じでも、解答の操作は練習が要る
とはいえ、ネットで受ける場合は操作そのものが得点に影響します。仕訳の勘定科目はプルダウンから選ぶため、紙のように科目名を書き殴ることができません。金額はテンキーで入力し、カンマは自動で入ります。精算表のような大きな表も画面をスクロールしながら埋めていくことになり、紙のように全体を一目で見渡せません。
この差を埋めるには、商工会議所が公開しているサンプル問題を一度は本番と同じ画面で触っておくことです。試験内容の理解が十分でも、操作に戸惑って5分失えば、それだけで合否が変わり得ます。逆に言えば操作に慣れてしまえば、電卓の使用や計算用紙の配布を含めて条件は紙とほぼ同じです。
ネットのほうが受かりやすいと言われる理由
合格率だけを見るとネット試験のほうが高く出ます。ただしこれは問題が易しいからではなく、受験者の顔ぶれと受けるタイミングが違うためだと考えるのが自然です。統一試験は日程が固定なので「準備が間に合わないまま当日を迎える人」が一定数含まれますが、ネット試験は自分の仕上がりに合わせて日を選べるため、準備が整った状態で受ける人の割合が高くなります。数字の詳細は日商簿記3級の合格率で扱っています。
なお、企業や学校が団体で実施する団体試験という方式もあり、これもネット試験と同じ仕組みで行われます。いずれの方式で合格しても資格としての価値は同じで、合格証書や履歴書の書き方に差はありません。
試験内容の変更 — 2021年度の大改定と2027年度の範囲変更
簿記3級の試験内容は固定されたものではなく、実務の変化に合わせて定期的に見直されています。いま受験を考えている人が知っておくべき変更は2つです。すでに適用されている2021年度の大改定と、これから適用される2027年度の出題範囲の変更です。古い情報を書いたサイトや古い版のテキストが残っているため、この2つの区別がつかないまま学習を始めると遠回りになります。
2021年度の変更 — 120分・5問から60分・3問へ
2021年度(2021年4月)から、簿記3級は試験の形そのものが大きく変わりました。変更点は3つです。
- 試験時間が120分から60分に短縮された
- 大問が5問から3問に集約され、配点も現在の45点・20点・35点になった
- ネット試験と団体試験が加わり、統一試験と合わせて3方式になった
この改定で試験の性格は明らかに変わりました。出題範囲が大幅に減ったわけではないのに解答時間が半分になったため、1問あたりに使える時間が厳しくなり、速さと正確さが問われる試験になったのです。「簿記3級は最近難しくなった」という評判の多くは、論点の難化ではなくこの時間圧縮を指しています。裏を返せば、対策の重心は知識の量ではなく処理速度に移ったということです。
いま学習を始める人にとって、2021年度の変更はすでに完了した過去の話です。注意すべきなのは、120分・5問を前提に書かれた古い解説や、5問構成の古い過去問集がまだ流通していることだけです。市販の教材を買うときは最新年度版を選んでください。
2027年度の変更 — 手形が3級から外れる
これから起きる変更が、出題区分表の改定です。2027年4月1日以降に実施される試験から新しい区分表が適用されます。統一試験・ネット試験・団体試験のすべてが対象です。試験時間や大問構成は変わらず、変わるのは範囲の中身だけです。
| 受験時期 | 適用される区分表 | 影響 |
|---|---|---|
| 2026年度(2027年3月まで) | 2022年度版 | 現行のテキストのままでよい |
| 2027年度(2027年4月から) | 2027年度版(新) | 改定対応版のテキストが必要 |
3級から削除されるのは手形に関する内容です。約束手形、受取手形、支払手形、手形記入帳などがまとめて範囲外になります。紙の手形が決済実務から姿を消していく流れを受けたもので、現行の第1問・第2問に定着している論点だけに、範囲の変更としては大きなものです。
入れ替わりに追加されるのは、これまで2級で扱われていた論点です。売上原価対立法(販売のつど売上原価に振り替える方法)、有形固定資産の除却・廃棄、減価償却の定率法(基礎的なレベルのみ)が加わり、普通預金が現金預金の範囲として明記され、クレジット売掛金にキャッシュレス決済を含むことが追記されます。手形が抜けた分を埋める入れ替えなので、学習量が大きく増えるわけではありません。
実務的な結論はシンプルです。2026年度中に受験するなら改定を気にする必要はなく、むしろ改定前に取り切ってしまうほうが得です。合格に有効期限はないので、改定前に取った3級の価値が後から下がることもありません。2027年度以降に受ける予定なら、テキストの版だけは必ず確認してください。中古教材は特に注意が必要です。変更点の一次情報は商工会議所の検定サイトで公開されているので、受験前に最新情報を確認しておくと確実です。
60分で70点を取る時間配分と解く順番
簿記3級の試験内容を知ったうえで最後に決めるべきなのが、60分をどう割り振るかです。合格できなかった人の敗因は「知らない論点が出た」より「時間が足りず、解けるはずの問題に手をつけられなかった」であることが圧倒的に多いからです。
推奨は第1問→第3問→第2問
解く順番は第1問 → 第3問 → 第2問が定石です。配点が大きく確実に得点できる順に処理し、出題の振れ幅が大きい第2問を最後に回します。番号順に解くと、第2問で詰まったまま時間を使い、35点の第3問が白紙のまま終了する事故が起こります。
| 順番 | 大問 | 目安時間 |
|---|---|---|
| 1番目 | 第1問(仕訳15題・45点) | 15分 |
| 2番目 | 第3問(決算・35点) | 25分 |
| 3番目 | 第2問(帳簿・伝票・20点) | 15分 |
| — | 見直し | 5分 |
この配分なら、第1問で36点(12題)、第3問で25点、第2問で10点を積むだけで71点になります。満点を取りに行かず、7割を確実に拾う設計が合格の型です。
切り上げの基準をあらかじめ決めておく
時間内に解き切るために効くのは、解く速さよりあきらめる判断の速さです。次の基準を試験前に決めておくと、本番で迷いません。
- 第1問は1題1分。仕訳の形が浮かばなければ飛ばし、最後に戻る
- 第3問は決算整理事項を上から順に処理し、詰まった項目はその欄を空けて次へ進む
- 第2問は残り時間で拾える空欄だけ埋める。1つの空欄に2分以上かけない
- 電卓の打ち直しは1回まで。3回目は数字を書き出してから計算する
とくに第3問は、ひとつの整理事項が解けなくても他の欄は独立して採点されます。当期純利益が合わないことを恐れて延々と検算するより、埋まっていない欄を1つ増やすほうが点になります。
本番と同じ60分で通し練習をする
時間配分は知識ではなく感覚なので、本番と同じ60分で通しの練習を最低3回やっておくことをおすすめします。論点別の問題集を解けるようになっていても、60分の中で3問を行き来する経験がないと、本番でペースを崩します。ネット試験を受けるなら、この通し練習を画面上で行うとさらに効果的です。無料で使える教材は簿記3級の過去問(無料)にまとめています。
試験内容から逆算する勉強の進め方
試験内容がわかったら、あとはそこから逆算して学習の順番を決めるだけです。3級の合格に必要な勉強時間は初学者で80〜120時間が目安ですが、同じ時間をかけても配点の大きいところに時間を寄せられたかどうかで結果は変わります。
学習の順番 — 仕訳を先に、決算を後に
- 簿記の仕組みを理解する(5〜10時間) — 借方と貸方、5要素、なぜ左右が一致するのかまで。ここを飛ばすと後がすべて暗記になる
- 仕訳をひたすら反復する(30〜40時間) — 第1問45点の直接対策であり、第2問・第3問の土台でもある。最も投資効率が高い
- 帳簿と転記を押さえる(10時間) — 総勘定元帳、補助簿、伝票。第2問の守りを作る
- 決算整理と精算表(25〜35時間) — 第3問35点。仕訳が固まってから着手すると一気に進む
- 通しの模擬試験(10時間) — 60分で3問を解く練習。時間配分を体に入れる
この順番の要点は、2番目の仕訳に全体の3分の1以上を割くことです。第3問の決算整理も結局は仕訳を切って表に転記する作業なので、仕訳が遅い状態で決算に進んでも手が止まります。逆に仕訳が速くなると、第3問の学習速度まで上がります。
仕訳は「読む」より「解く」で伸びる
仕訳は理解した瞬間にできるようになる知識ではなく、取引文を見た瞬間に手が動くまで反復して定着する技能です。テキストを読んで納得しただけでは、本番の1分という制限のなかでは間に合いません。1日15分でも毎日仕訳に触れ、間違えた論点だけを繰り返す形が最短です。
学猿の仕訳ドリルは、まさにこの第1問形式(勘定科目を選び、金額を入力する)に特化して作られています。間違えた問題は忘れかけたタイミングで自動的に再出題されるので、上の学習計画のうち2番目と4番目をそのまま置き換えられます。会員登録なしですぐ始められるので、テキストの合間の反復用に使ってみてください。
まとめ — 簿記3級の試験内容の要点
簿記3級の試験内容について、押さえるべきことを最後に整理します。
- 試験の形 — 60分・大問3問・100点満点。合格点は70点で、大問ごとの足切りはない
- 第1問 — 仕訳15題で45点。1題3点で部分点はなく、勘定科目は選択式
- 第2問 — 勘定記入・補助簿・伝票などから2題で20点。部分点が効くので拾える空欄だけ拾う
- 第3問 — 精算表・財務諸表・決算整理後試算表のいずれかで35点。やることは3つの型で共通
- 出題範囲 — 商業簿記のみ。工業簿記・有価証券・連結は2級以上
- ネット試験と統一試験 — 試験内容は同じ。違うのは解答方法・日程・結果の出方だけ
- 変更 — 2021年度に120分・5問から60分・3問へ。2027年度から手形が範囲外、定率法などが追加
- 時間配分 — 第1問15分 → 第3問25分 → 第2問15分 → 見直し5分
試験内容を一言でまとめるなら、「仕訳が45点、決算が35点。この80点で勝負が決まる試験」です。範囲は広く見えても、得点源ははっきりしています。まずは仕訳を毎日反復するところから始めてください。全体像をもう一度確認したいときは簿記3級の完全ガイド、日程を決めたいときは簿記3級の試験日を参照してください。

