買掛とは?意味をわかりやすく解説
買掛(かいかけ)とは、商品や原材料を先に受け取っておき、その代金をあとでまとめて支払う取引のことです。代金の受け渡しを後回しにする取引を掛け取引といい、そのうち買う側の立場を指すのが買掛です。検索では「買掛 とは」と単独で調べられることが多い言葉ですが、意味を正しくつかむには売る側の売掛とセットで理解するのが近道になります。
買掛とは「代金をあとで払う」約束のこと
たとえば雑貨店が4月10日に問屋から商品を30万円分納品してもらい、代金は5月31日に銀行振込でまとめて払う、という約束を交わしたとします。この4月10日から5月31日までのあいだ、雑貨店は商品を手に入れているのに代金をまだ払っていません。この「まだ払っていない代金」と、それを生んだ取引のかたちが買掛です。
大事なのは、商品が動いた日とお金が動く日がずれるという点です。現金でその場で払う取引なら、商品と代金の交換は一瞬で終わります。掛け取引ではその間に1か月から2か月の時間差が生まれ、その差を帳簿に残しておかないと、いくら払う義務が残っているのかが分からなくなります。そこで簿記では、この未払いの代金を買掛金という勘定科目で記録します。買掛金という科目そのものの詳しい扱い(未払金との線引き、残高がマイナスになる理由、確定申告での扱いなど)は買掛金とはで個別に解説しています。
「買い掛け」「買掛け」— 読み方と表記のゆれ
読み方は「かいかけ」、買掛金なら「かいかけきん」です。ウェブ上では買い掛け、買掛けのように送り仮名を入れた表記も見かけますが、簿記・会計の正式な表記は送り仮名なしの「買掛」「買掛金」です。試験の答案や決算書では必ず買掛金と書いてください。売る側も同様で、売り掛けではなく売掛、売掛金が正式表記です。
英語では買掛金を accounts payable(略して AP)、売掛金を accounts receivable(略して AR)といいます。payable は「支払うべきもの」、receivable は「受け取るべきもの」という意味で、日本語の債務・債権の関係がそのまま単語に出ています。外資系企業や会計ソフトの英語表示では、この AP・AR という略語のほうがよく使われます。
一言でわかりやすくいうと「ツケ」の会社版
買掛をいちばんわかりやすく言い換えるなら、昔ながらの商店の「ツケ」です。常連客が飲食代をその場で払わず、月末にまとめて精算する仕組みを会社どうしの取引に広げたものが掛け取引だと考えてください。ツケで飲んだ客の側が買掛、ツケを付けた店の側が売掛にあたります。
ツケが成り立つのは、店が「この客はあとで必ず払う」と信用しているからです。掛け取引もまったく同じで、相手を信用できるからこそ、代金を受け取る前に商品を渡せるという関係の上に成り立っています。だから会計の世界では、売掛金を売上債権、買掛金を仕入債務と呼び、まとめて信用取引による債権・債務として扱います。初めて取引する相手にいきなり掛けを認めず、最初の何回かは前払いや現金取引にする実務があるのも、この信用が積み上がっていないためです。
売掛と買掛の違い — 1つの取引を裏と表から見ている
売掛と買掛は、まったく別の2つの取引ではありません。1つの同じ取引を、売る側から見るか買う側から見るかの違いです。ここを取り違えたまま暗記しようとすると、仕訳のたびにどちらの科目を使うのか迷い続けることになります。逆にこの関係さえつかめば、売掛と買掛はセットで一度に覚えられます。
立場が変われば、同じ取引でも科目が入れ替わる
A社がB社へ商品10万円を掛けで販売した場面を考えます。A社から見れば、商品を渡したのに代金はまだ受け取っていないので、10万円を請求できる権利が手元に残ります。これが売掛であり、勘定科目でいえば売掛金です。一方のB社から見れば、商品を受け取ったのに代金をまだ払っていないので、10万円を支払う義務を負います。これが買掛であり、勘定科目でいえば買掛金です。
つまり売掛はあとで代金を受け取る権利(債権)、買掛はあとで代金を支払う義務(債務)です。同じ10万円という金額が、売る側の帳簿では資産として、買う側の帳簿では負債として現れます。自社がその取引で売り手なのか買い手なのかを最初に決めれば、使う科目は自動的に決まります。売掛金の側の詳しい実務は売掛金とはにまとめています。
2社の帳簿が同時に、逆向きに動く
掛け取引が起きると、A社とB社の帳簿はまったく同じ日付・同じ金額で、しかし逆向きに動きます。A社が売掛金10万円を借方に立てるのと同時に、B社は買掛金10万円を貸方に立てます。だから理屈のうえでは、A社の売掛金残高とB社の買掛金残高は一致します。実務で毎月末に取引先と残高を突き合わせる作業(残高確認)が成り立つのは、この対称性があるからです。
売掛と買掛の対応早見表
ここまでの対応関係を一覧にすると次のようになります。左右のどちらの列に自社が立っているかを決めてから読むと迷いません。
| 項目 | 売掛(売る側) | 買掛(買う側) |
|---|---|---|
| 勘定科目 | 売掛金 | 買掛金 |
| 5要素の分類 | 資産 | 負債 |
| 発生したとき | 借方(左)に記入 | 貸方(右)に記入 |
| 決済したとき | 貸方(右)に記入 | 借方(左)に記入 |
| 相手との関係 | 債権(受け取る権利) | 債務(支払う義務) |
| 総称 | 売上債権 | 仕入債務 |
| 補助簿 | 売掛金元帳(得意先元帳) | 買掛金元帳(仕入先元帳) |
| 英語表記 | accounts receivable(AR) | accounts payable(AP) |
なお、掛けで取引した相手が同時に売り手でも買い手でもある場合(相互に仕入と販売がある取引先)は、同じ会社に対して売掛金と買掛金の両方が並びます。この場合でも勝手に相殺せず、それぞれの残高を別々に管理するのが原則です。相殺して決済する契約を結んでいるときだけ、相殺の合意にもとづいて仕訳を切ります。
なぜ掛けで取引するのか — 現金取引との違いとメリット・デメリット
その場で現金を払えば買掛は発生しません。それでも企業間の取引の大半が掛けで行われているのには、事務と資金繰りの両面に理由があります。
現金取引との違いは「手間」と「時間差」
毎日のように部品を仕入れる工場が、納品のたびに現金を数えて渡していたらどうなるでしょうか。月に100回納品があれば100回の入出金処理と100枚の領収書が発生します。掛け取引にすれば、1か月分をまとめて1回振り込むだけで済み、記録も請求書1枚に集約できます。取引のたびの決済を、月1回にまとめる仕組みが掛け取引だと考えると、その存在理由がはっきりします。
もうひとつの違いが時間差です。現金取引では商品と代金が同時に動くため、帳簿に残る科目は仕入と現金だけです。掛け取引では代金の動きが後ろにずれるので、そのあいだの「まだ払っていない」状態を買掛金という科目で持ち越すことになります。この持ち越しがあるからこそ、簿記では発生主義という考え方が必要になります。
買う側のメリット — 手元の現金を減らさずに仕入れられる
買掛の最大の利点は、商品を仕入れてから支払うまでのあいだ、手元の現金を減らさずに済むことです。仕入れた商品を支払期日より前に売ってしまえば、売上代金で仕入代金を払うことができ、自己資金をほとんど使わずに商売を回せます。しかも掛け取引には原則として利息が付きません。実質的に無利子で短期のお金を借りているのと同じ効果があり、これが企業間信用と呼ばれる理由です。
売る側にもメリットがあります。代金を先に払わなくてよい条件を提示できれば、買い手にとって発注のハードルが下がり、受注が増えやすくなります。決済の回数が減って事務コストが下がるのは両者に共通の利点です。
デメリットとリスク — 支払いは待ってくれない
掛け取引の裏側にはリスクがあります。買う側にとっては、支払期日が来れば商品が売れていようがいまいが必ず払わなければならないという点です。仕入れた在庫が動かないまま支払日を迎えると、現金だけが出ていきます。売る側にとってのリスクはさらに深刻で、取引先が倒産すれば売掛金は回収できず、商品を渡した分がまるごと損失になります(貸倒れ)。
両者に共通して怖いのが、売掛の回収が遅く買掛の支払いが早い状態です。帳簿上は利益が出ているのに手元の現金が尽きる、いわゆる黒字倒産はこの形で起こります。だから実務では、取引を始める前に相手の信用を調べ、掛けで売ってよい上限額(与信限度額)を決め、支払条件を書面で残します。掛け取引は信用の上に成り立っている以上、その信用を測る作業とセットでなければ成立しません。
掛け取引の流れ — 受注から締め日・支払サイト・決済まで
買掛が発生してから消えるまでには決まった流れがあります。日付が3種類(納品日・締め日・支払日)出てくるところがつまずきやすいので、順番に押さえます。
掛け取引の5ステップ
- 注文 — 買う側が発注書を出し、売る側が受注する。この時点ではまだ仕訳を切らない(商品が動いていないため)
- 納品 — 商品が引き渡される。買う側は買掛金、売る側は売掛金をこの日付で計上する。掛け取引の仕訳を切る基準日は納品日
- 請求 — 売る側が締め日までの取引をまとめ、請求書を発行する
- 確認 — 買う側が請求書と自社の帳簿を突き合わせ、金額が合っているかを確かめる
- 決済 — 支払期日に銀行振込などで支払う。買掛金と売掛金がここで消える
注文の時点で仕訳を切らないのは、簿記が「商品やサービスが実際に動いた事実」を記録の起点にしているからです。契約しただけ、注文しただけでは資産も負債も動きません。逆にいえば、まだ請求書が届いていなくても納品が済んでいれば買掛金は発生しています。
締め日と支払サイトの読み方
締め日とは、1か月分の取引を区切って集計する日のことです。支払サイトは、締め日から実際に支払う日までの期間を指します。実務でもっとも多いのが「月末締め翌月末払い」で、4月中に納品された分をすべて4月30日で締め、5月31日にまとめて振り込みます。「20日締め翌月10日払い」のように締め日が月末でない条件もあります。
図のとおり、4月10日に納品された分の支払いは5月31日です。猶予は約51日ありますが、同じ「月末締め翌月末払い」でも4月28日に納品された分なら猶予は33日しかありません。資金繰りを組むときは締め日ではなく、実際に振込が起きる日を基準に並べます。売る側から見れば、この期間がそのまま代金を回収できない期間になります。
支払期日は60日以内 — 取適法のルール
支払条件は当事者が自由に決められるわけではありません。2026年1月1日に施行された取適法(中小受託取引適正化法。旧下請法)の対象取引では、給付を受け取った日から60日以内のできるだけ短い期間で支払期日を定める義務があります。同法では対象取引での手形払いも禁止され、支払期日までに現金(銀行振込など)で支払う必要があります。
取適法では資本金の大小にかかわらず幅広い発注者が規制対象となり、フリーランスを含む受注者が保護されます。支払サイトを一方的に延ばす通告は法令違反になり得るだけでなく、仕入先の信用も失います。自社の取引が対象にあたるかどうかは委託内容や取引規模で変わるため、公正取引委員会の公式サイトで最新の要件を確認してください。
買掛金・売掛金の仕訳 — 発生と決済で左右が入れ替わる
ここからは実際の仕訳です。掛け取引は納品したときと決済したときの2回、仕訳を切ります。1回の取引に2回の仕訳が必要になるのが、現金取引との最大の違いです。
買う側(買掛)の仕訳
B社が4月10日に商品10万円を掛けで仕入れ、5月31日に当座預金から振り込んだ場合の仕訳は次のとおりです。
支払いの仕訳に仕入が出てこない点に注意してください。費用の計上は4月10日の時点ですでに終わっているため、5月31日は負債(買掛金)と資産(当座預金)が同時に減るだけです。ここで再び仕入を書いてしまうと費用の二重計上になります。返品や値引きを受けたときは、まだ払っていない代金が減るので買掛金を借方に持ってきます。
売る側(売掛)の仕訳
同じ取引をA社の側から見ると、借方と貸方がそっくり入れ替わります。
売掛金は資産なので、発生したときは借方、回収したときは貸方に書きます。買掛金とちょうど逆向きです。仕訳の基本ルール(借方合計と貸方合計が必ず一致すること)そのものは簿記3級の仕訳で基礎から解説しています。
なぜ決済時に反対側へ書くのか
買掛金という科目は、増えたら貸方、減ったら借方に記入します。負債は貸方が定位置なので、増加は定位置と同じ側、減少は反対側というルールです。支払いによって「払う義務」がなくなるのだから買掛金は減る、したがって借方に書く、という順番で考えれば暗記に頼らずに導けます。
この左右の入れ替わりが理解できると、決算で残った買掛金の意味も見えてきます。期末に残っている買掛金の残高は、まだ払い終えていない代金の合計です。同じように売掛金の残高は、まだ受け取っていない代金の合計を表します。どちらも取引先ごとの明細を積み上げた金額であり、次の章で見る補助簿がその明細を持っています。
帳簿での買掛・売掛 — 買掛金元帳と売掛金元帳
掛け取引は相手が複数いるのが普通です。5社から仕入れていれば買掛金の残高は5社分の合計であり、総勘定元帳を見ただけではどこにいくら払うのかが分かりません。そこで簿記では、科目全体の残高を持つ帳簿と、取引先ごとの内訳を持つ帳簿を分けています。
総勘定元帳には合計だけが載る
仕訳帳に書いた仕訳は、科目ごとに総勘定元帳へ転記されます。買掛金勘定のページを開けば、その月にいくら増えていくら減り、いま残高がいくらなのかが分かります。ただしそこに書かれているのは金額と日付だけで、相手先の名前は出てきません。決算書に載る買掛金の金額はこの総勘定元帳の残高です。
買掛金元帳(仕入先元帳)と売掛金元帳(得意先元帳)
取引先ごとの内訳を管理するのが補助元帳です。買う側が使うのが買掛金元帳、別名を仕入先元帳といい、仕入先1社につき1ページを割り当てて、その会社に対する買掛金の増減と残高だけを追いかけます。売る側が使うのが売掛金元帳、別名を得意先元帳です。
| 帳簿 | 何が載るか | 使う場面 |
|---|---|---|
| 総勘定元帳(買掛金勘定) | 買掛金全体の増減と残高 | 決算書の作成 |
| 買掛金元帳(仕入先元帳) | 仕入先ごとの残高 | 支払額の確定・残高確認 |
| 売掛金元帳(得意先元帳) | 得意先ごとの残高 | 請求書の発行・入金消込 |
| 仕入帳・売上帳 | 取引の明細(品目・数量) | 取引内容の確認 |
補助元帳の各ページの残高をすべて足すと、総勘定元帳の買掛金残高と一致します。この一致が崩れていたら、どこかに転記漏れか二重計上があります。実務ではこの照合を毎月行い、簿記3級でも補助簿の残高から総勘定元帳の金額を推定させる形で出題されます。
消込 — 支払い・入金を1件ずつ対応づける
消込とは、支払った金額や入金された金額を、どの請求分に対するものかを1件ずつ突き合わせて消していく作業です。掛け取引では月に何十件も納品があり、支払いはまとめて1回なので、どの納品分が精算済みでどれが残っているのかを整理しないと残高が合わなくなります。
残高が合わないときの典型的な原因は、締め日の解釈のずれ(月末納品分をどちらの月に入れたか)、返品や値引きの反映漏れ、振込手数料を差し引かれた分の未処理の3つです。とくに振込手数料は、買う側が差し引いて振り込むと請求額と入金額が数百円ずれます。この差額を支払手数料として処理するのか売る側の負担とするのかは契約次第なので、取引開始時に決めておきます。
掛け以外の後払いとの違い — 未払金・手形・カード
後払いの取引がすべて買掛・売掛になるわけではありません。何を買ったのか、どんな方法で払うのかによって使う科目が変わります。ここを区別できないと、簿記の問題でも実務でも科目を取り違えます。
本業の仕入かどうかで買掛金と未払金が分かれる
掛けで買ったものが本業で売るための商品や、その材料であれば買掛金、それ以外の物やサービスであれば未払金です。文房具屋がボールペンを仕入れれば買掛金ですが、事務所のコピー機を後払いで買ったなら未払金になります。売る側も同じで、本業の売上から生じた債権が売掛金、それ以外(固定資産の売却代金など)が未収入金です。
もうひとつ紛らわしいのが未払費用です。こちらは家賃や利息のように時の経過とともに発生する費用のうち、決算日時点でまだ払っていない分を指します。判断の軸は「物やサービスの引き渡しが終わっているか」ではなく「時間の経過で少しずつ発生する性質か」です。買掛金と未払金・未払費用の細かい線引きは買掛金とはで例を挙げて整理しています。
手形・電子記録債権との違い
買掛金と支払手形は、どちらも後払いという点では同じですが、証券を振り出すかどうかが違います。手形は支払期日と金額を記載した証券を振り出すため、支払わなければ不渡りとなり、6か月以内に2回起こすと銀行取引が停止されて事実上の倒産に至ります。掛けの支払遅延より法的な拘束力がはるかに強い代わりに、売る側は期日前に銀行で割り引いて現金化できます。
近年は紙の手形に代えて電子記録債権(でんさい)を使う例が増えています。電子データで債権を記録し、譲渡や分割ができる仕組みで、印紙税がかからず紛失のリスクもありません。前述のとおり取適法の対象取引では手形払いが禁止されたため、手形からの切り替えはさらに進むと見られます。
クレジットカード・前払いとの違い
クレジットカードで仕入代金を決済した場合、厳密にはカード会社に対する債務なので未払金で処理するのが原則です。ただし本業の仕入に限って買掛金にまとめる実務もあります。どちらでも構いませんが、社内で科目を統一し、期をまたいでも同じ扱いを続けることのほうが重要です。
表のとおり、科目は「本業かどうか」と「決済の手段」の2つで決まります。まず自社が売り手か買い手かを決め、次にこの2点を確認すれば、迷わず科目にたどり着けます。
簿記3級での買掛・売掛 — 出題パターンと間違えやすい点
買掛金と売掛金は、簿記3級でもっとも登場回数の多い勘定科目の組み合わせです。第1問から第3問まですべての大問にまたがって出るため、ここで曖昧なまま進むと後半の学習が全部つまずきます。
第1問 — 仕訳問題での4つの型
第1問は15問の仕訳問題で、買掛・売掛はほぼ毎回出題されます。出方は次の4つの型に整理できます。
- 発生 — 掛けで仕入れた、掛けで売り上げた。買掛金は貸方、売掛金は借方
- 決済 — 買掛金を小切手を振り出して支払った、売掛金が当座預金に振り込まれた。左右が入れ替わる
- 返品・値引き — 品違いで返品した、数量不足で値引きを受けた。発生時と逆向きの仕訳
- 一部決済 — 買掛金のうち半額を現金で支払い、残額は翌月に繰り越す。残高が残る点に注意
問題文の言い回しにも型があります。「代金は掛けとした」「代金は月末に受け取ることとした」とあれば掛け取引、「代金は約束手形を振り出して支払った」とあれば手形です。問題文のどの語が科目を決めるのかを意識して読むだけで、正答率は大きく変わります。
第2問・第3問 — 補助簿と決算での出方
第2問では補助簿の選択や勘定記入の形で問われます。買掛金元帳(仕入先元帳)の摘要欄と残高から総勘定元帳の買掛金勘定を埋めさせる問題や、ある取引がどの補助簿に記入されるかを選ばせる問題が定番です。第2問の対策全般は簿記3級の第2問にまとめています。
第3問の決算問題では、買掛金は流動負債として貸借対照表の貸方に、売掛金は流動資産として借方に載ります。売掛金にはさらに貸倒引当金の設定が絡み、期末残高に対して一定率を見積もって費用計上する処理が問われます。決算全体の流れは簿記3級の決算で確認してください。
間違えやすいポイント3つ
実際の答案でつまずきやすいのは次の3点です。第一に、支払いの仕訳で仕入をもう一度書いてしまう二重計上。第二に、備品や消耗品を掛けで買ったときに買掛金を使ってしまう科目の取り違え(正しくは未払金)。第三に、返品の仕訳で借方と貸方を逆にしてしまうケースです。
いずれも「自社は売り手か買い手か」「本業の商品か否か」「増えるのか減るのか」の3つを順に確認すれば防げます。手を動かして体に入れるのがいちばん早いので、簿記3級の練習問題で買掛・売掛の仕訳を繰り返し解いてみてください。
まとめ — 買掛とは「あとで払う」側、売掛とは「あとで受け取る」側
買掛とは、商品や材料を先に受け取り、代金をあとでまとめて払う掛け取引を、買う側から見た呼び方です。同じ取引を売る側から見れば売掛になります。この表と裏の関係が、買掛と売掛を理解するうえでいちばんの土台です。
- 買掛は支払う義務(債務)、売掛は受け取る権利(債権)。勘定科目は買掛金(負債)と売掛金(資産)
- 正式な表記は送り仮名なしの買掛・売掛。買い掛けと書かれることもあるが答案では買掛金と書く
- 仕訳は納品時と決済時の2回。買掛金は貸方で増え、借方で減る
- 日付は納品日・締め日・支払日の3つ。取適法の対象取引では支払期日は受領から60日以内
- 本業の商品なら買掛金・売掛金、それ以外は未払金・未収入金
あとは実際の取引文を読んで仕訳を切る練習を積むだけです。学猿の仕訳ドリルは、本試験と同じ勘定科目の選択と金額入力の形式で、買掛金・売掛金を含む論点を1問ずつ判定しながら進められます。間違えた問題は自動で復習リストに入るので、二重計上や科目の取り違えといった自分のクセをつぶしていけます。まずは掛け取引の基本仕訳から解いてみてください。

