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損益計算書とは?書き方・作り方と貸借対照表との違いをわかりやすく解説|売上原価・当期純利益の求め方と簿記3級・2級の解き方

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損益計算書(P/L)は会社の1年間のもうけを表す決算書です。貸借対照表との違いと覚え方、勘定科目と項目、書き方・作り方、売上高・売上原価・当期純利益の求め方、精算表とのつながり、簿記3級・2級の解き方までまとめて解説します。

損益計算書とは?1年間のもうけを表す決算書

損益計算書とは、会社が1年間(会計期間)にどれだけ稼ぎ、そのためにどれだけ使い、結果としていくら残ったのかをまとめた決算書です。売上などの収益から、仕入や給料などの費用を差し引いて、最終的な利益である当期純利益を計算します。学校の通知表にたとえられることが多く、「その1年間の成績表」と表現されます。簿記の学習では、決算のゴールとして必ず作ることになる書類です。

収益 − 費用 = 利益 という1本の式でできている

損益計算書の中身は、突き詰めればたった1本の式です。1年間に入ってきた収益の合計から、その収益を得るために使った費用の合計を引く。残ったプラスが当期純利益、マイナスなら当期純損失です。

収益の合計費用の合計=当期純利益(マイナスなら当期純損失)収益の合計 - 費用の合計 = 当期純利益(マイナスなら当期純損失)

ここで大事なのは、お金が動いた記録ではなく、もうけの記録だという点です。商品を売って代金が売掛金のまま未回収でも、売った時点で売上という収益になります。逆に、借入金を返済して現金が大きく減っても、それは費用ではないので損益計算書には一切出てきません。「現金が減った=損をした」ではないことが、簿記を学び始めた人が最初につまずくポイントです。

P/L・英語での呼び方

損益計算書は実務でもよくP/L(ピーエル)と略されます。これは英語の Profit and Loss Statement(利益と損失の計算書)の頭文字です。英語では他に Income Statement(インカム・ステートメント)という呼び方も一般的で、アメリカ基準の財務諸表ではこちらが使われます。IFRS(国際会計基準)では Statement of Profit or Loss と表現されます。

Profit and Loss Statement(P/L)
損益計算書。日本の実務・簿記の学習で最もよく使われる略称の由来
Income Statement(I/S)
損益計算書。米国基準や英文財務諸表で多い呼び方
Balance Sheet(B/S)
貸借対照表。損益計算書とセットで作られるもう1つの主要な決算書

簿記の試験では英語表記そのものが問われることはまずありませんが、参考書やネット上の解説では当たり前のように「P/L」「B/S」と略されます。P/L=損益計算書、B/S=貸借対照表と対で覚えておくと、教材を読むスピードが変わります。以降の説明でもこの略称を使います。

誰のために作るのか

損益計算書は簿記の試験のためだけに作る書類ではありません。会社は決算のたびに損益計算書と貸借対照表を含む財務諸表を作り、税務署への確定申告、銀行からの融資審査、株主への報告に使います。銀行が「この会社は毎年きちんと利益を出しているか」を見るときに真っ先に開くのが損益計算書です。個人事業主が青色申告で提出する決算書にも、同じ考え方の損益計算書が含まれています。

つまり簿記の学習で損益計算書を作る練習をすることは、そのまま実務で読む力につながります。試験対策として手を動かしながら、「この数字は外部の誰かが会社を評価するために見るものだ」という視点を持っておくと、あとで実務に出たときの理解が早くなります。

損益計算書と貸借対照表の違い・覚え方

損益計算書とセットで必ず出てくるのが貸借対照表です。両方まとめて財務諸表と呼びますが、初学者がいちばん混乱するのがこの2つの違いです。結論から言うと、違いは「測っている時間」と「載せる勘定科目」の2点に集約されます。損益計算書は4月1日から3月31日までのような1年間という期間の記録であり、貸借対照表は3月31日という決算日ただ1日の残高の記録です。

期間を測るか、一時点を切り取るか

損益計算書は、1年間を通して積み上がった収益と費用を集計します。1年が終われば収益と費用の残高はいったんゼロに戻り、翌期はまた0から積み上げ直します。これに対して貸借対照表に載る資産・負債・純資産は、決算日の残高がそのまま翌期首に引き継がれます。手元の現金が決算日をまたいで消えることはないからです。この「毎期リセットされるのが損益計算書、繰り越されるのが貸借対照表」という性質の違いは、決算整理や次期繰越の処理を理解するうえでの土台になります。

損益計算書は1年間の期間、貸借対照表は決算日の一時点 会計期間 4/1 → 決算日 3/31 損益計算書(P/L) 1年間の期間の記録 収益 − 費用 = 当期純利益 貸借対照表(B/S) 決算日の一時点 資産・負債・純資産 当期純利益は貸借対照表の純資産に加わる
損益計算書は1年間を集計した期間の記録、貸借対照表は決算日という一時点の残高。稼いだ当期純利益は貸借対照表の純資産を増やす

載る勘定科目が違う

もう1つの違いは、どの勘定科目がどちらに載るかです。簿記の5要素のうち、収益と費用が損益計算書へ、資産・負債・純資産が貸借対照表へ振り分けられます。売上や受取手数料は損益計算書、現金や売掛金や借入金は貸借対照表です。決算整理後の残高を、この5要素の区分にしたがって2つの表に配るだけ、と言い切ってしまってよいほど機械的な作業です。

比べる点損益計算書(P/L)貸借対照表(B/S)
測るもの1年間のもうけ決算日の財産の状態
時間期間(4/1〜3/31)一時点(3/31)
載る要素収益・費用資産・負債・純資産
翌期への扱いゼロに戻るそのまま繰り越す

混同しないための覚え方

2つを取り違えないための覚え方として実用的なのは、「動画か、写真か」という対比です。損益計算書は1年間を回し続けた動画、貸借対照表は決算日にシャッターを切った写真だと考えます。動画には途中の出来事(売った・買った・払った)が全部写り、写真にはその瞬間に持っているもの(現金・建物・借金)だけが写ります。迷ったら「これは1年かけて起きた出来事か、いま持っているものか」と自問すれば、どちらの表に載る科目かはほぼ判別できます。

もう1つの覚え方は、名前そのものを手がかりにすることです。損益計算書は文字どおり損と益を計算する書類なので、損(費用)と益(収益)しか載りません。貸借対照表は貸方と借方を対照させる表なので、決算日に残っている残高が左右に並びます。貸借対照表側の詳しい読み方は貸借対照表の読み方で解説しています。

損益計算書の項目と勘定科目

損益計算書に並ぶ項目は、大きく収益の項目費用の項目の2種類しかありません。この2つに当てはまらない勘定科目は、そもそも損益計算書には登場しません。まずは簿記3級で扱う代表的な勘定科目を、この2区分で頭に入れてしまうのが近道です。

収益の勘定科目

収益は、会社が外部から稼いだ金額です。損益計算書では貸方(右側)、あるいは報告式なら上のほうに並びます。3級で出てくる収益の勘定科目はそれほど多くありません。

売上
商品を売って稼いだ金額。損益計算書では「売上高」という項目名で表示する
受取手数料
仲介や事務代行などのサービスの対価として受け取った手数料
受取利息
預金や貸付金から受け取った利息
受取家賃・受取地代
建物や土地を貸して受け取った賃料
雑益・貸倒引当金戻入
本業以外の少額の収益や、引当金の見積り修正で生じる収益

収益の勘定科目には「売上」「受取〜」「〜益」という語がつくものが多く、名前から判別できるものがほとんどです。売上の細かい計上のしかたは別記事で扱っています。

費用の勘定科目

費用は、その収益を得るために使った金額です。損益計算書では借方(左側)に並びます。3級では費用の勘定科目のほうが数が多く、覚える負担もこちら側に偏ります。

  • 仕入(売上原価) — 売った商品の元手。損益計算書では「売上原価」と表示する
  • 給料・法定福利費 — 従業員に払う人件費
  • 支払家賃・支払地代・水道光熱費・通信費・旅費交通費 — 事業を回すための経費
  • 減価償却 — 固定資産の価値の目減りを費用にしたもの
  • 貸倒引当金繰入・貸倒損失 — 回収できない見込みの債権に関する費用
  • 支払利息 — 借入金に対して払う利息
  • 法人税、住民税及び事業税 — 会社の利益にかかる税金。損益計算書のいちばん下に置く

貸借対照表の勘定科目と間違えやすいもの

試験で失点が出やすいのは、名前が似ているのに片方は損益計算書、もう片方は貸借対照表という組み合わせです。ここを取り違えると、その科目を丸ごと反対側の表に書いてしまい、当期純利益まで狂います。代表的なペアを整理しておきます。

損益計算書に載る科目貸借対照表に載る科目取り違えの原因
受取利息(収益)未収利息(資産)どちらも利息という語を含む
支払家賃(費用)前払家賃(資産)決算整理で片方から片方へ振り替える
貸倒引当金繰入(費用)貸倒引当金(資産のマイナス)繰入の2文字だけが違う
減価償却費(費用)減価償却累計額(資産のマイナス)同じ減価償却の処理から同時に出る

この見分け方も、結局は「期間か、一時点か」で判断できます。受取利息は1年間に受け取った分の合計なので損益計算書、未収利息は決算日時点でまだもらっていない権利の残高なので貸借対照表です。決算整理で登場する前払・前受・未収・未払の4つはすべて貸借対照表側の資産または負債だと覚えておけば、迷う場面はかなり減ります。

損益計算書の書き方・作り方(簿記3級の勘定式)

簿記3級で作る損益計算書は勘定式と呼ばれる左右2列の形式です。左側(借方)に費用、右側(貸方)に収益を並べ、差額の当期純利益を左側の最後に書き足して左右の合計を一致させます。3級の第3問では、この勘定式の損益計算書と貸借対照表を同時に完成させる財務諸表作成問題が出題されます。書き方は毎回同じ型なので、手順として覚えてしまえば安定して得点できる論点です。

作り方の手順は4ステップ

  1. 決算整理仕訳を行い、決算整理後の各勘定の残高を確定させる
  2. 残高を5要素に分け、収益と費用を損益計算書へ、資産・負債・純資産を貸借対照表へ書き写す
  3. 収益合計と費用合計の差額を当期純利益として損益計算書の借方に書き、左右の合計を一致させる
  4. その当期純利益を貸借対照表の繰越利益剰余金に加算して、貸借対照表の左右も一致させる

この4ステップのうち、実際に頭を使うのは1番の決算整理仕訳だけです。2番以降は転記と計算の作業なので、ミスの大半は転記漏れと符号の取り違えから生まれます。決算整理の具体的な処理は簿記の決算で整理しています。

勘定式の損益計算書は左右の合計が一致する 借方(左)=費用 売上原価 700 給料など 200 当期純利益 100 貸方(右)=収益 売上高 1,000 合計 1,000 = 合計 1,000
費用の合計に当期純利益を足すと収益の合計と一致する。差額として当期純利益を求めるのが勘定式の書き方

図のとおり、売上高1,000に対して費用が900であれば、差額の100が当期純利益です。この100を借方に書き足すことで左右がそろいます。もし費用のほうが大きければ、逆に貸方側に当期純損失として書き入れます。当期純利益は計算して求めるのではなく、左右を一致させる差額として現れるという感覚をつかむと、勘定式の書き方は一気に楽になります。

仕訳の勘定科目名をそのまま書かない

3級の受験者がいちばん落としやすいのが、表示科目への読み替えです。ふだんの仕訳で使う勘定科目名と、損益計算書・貸借対照表に書く項目名は一致しないものがあります。仕訳では「仕入」でも、損益計算書では「売上原価」と書かなければ正解になりません。

仕訳で使う勘定科目財務諸表での表示載る表
仕入売上原価損益計算書
売上売上損益計算書
繰越商品商品貸借対照表
前払家賃など前払費用貸借対照表

読み替えのほかに、貸倒引当金と減価償却累計額の書き方にも注意が必要です。これらは貸借対照表の貸方に単独で並べるのではなく、売掛金や建物といった資産から控除する形式で表示します。書き方の型そのものは毎回同じなので、練習問題を数回解いて手が覚えてしまえば、本番で考え込む場面はなくなります。

売上高の求め方と売上原価の求め方

損益計算書のいちばん上に並ぶ2つの数字、売上高と売上原価は、どちらも決算で計算し直す必要がある項目です。試算表の残高をそのまま書き写せばよいわけではないため、ここが3級の第3問で最初の分かれ道になります。求め方をそれぞれ確認します。

売上高の求め方

損益計算書に載せる売上高は、単純に売った金額の総額ではありません。返品や値引きを差し引いた売上を表示します。

売上=売上売上戻り高(返品)売上値引高売上高 = 総売上高 - 売上戻り高(返品) - 売上値引高

実務では返品や値引きが起きたときに売上勘定を直接減らす処理をすることが多く、その場合は決算日の売上勘定の残高がすでに純売上高になっています。売上戻り高を別勘定で処理している問題では、決算でそれを売上から控除して求めます。売上高の求め方でつまずいたときは、「売上勘定の貸方残高がいくらか」を確認するのが確実です。なお、商品を売って現金や売掛金を受け取った時点で売上を計上するのが原則で、代金の入金日ではありません。

売上原価の求め方

売上原価は、その期に売れた商品の分だけの仕入額です。仕入勘定の残高をそのまま書くと、まだ売れずに倉庫に残っている商品の分まで費用にしてしまうため、期首と期末の在庫で調整します。検索では「売上原価求め方」と助詞を省いて入力されることも多い、3級で最も問われる計算です。

売上原価=期首商品棚卸高+当期商品仕入高期末商品棚卸高売上原価 = 期首商品棚卸高 + 当期商品仕入高 - 期末商品棚卸高

たとえば期首の在庫が100円、当期の仕入が800円、期末に残った在庫が150円だったとします。売上原価は 100 + 800 − 150 = 750円です。この750円が損益計算書の売上原価として計上され、期末に残った150円は貸借対照表に「商品」という資産として載ります。売上原価の求め方は、費用にする分と資産として繰り越す分の線引きそのものです。

しーくりくりしーで仕訳に落とす

この調整を仕訳にしたものが、3級で必ず覚えることになる決算整理仕訳です。語呂で「しーくりくりしー」と呼ばれます。

内容借方貸方
期首在庫を費用に振り替える仕入 100繰越商品 100
期末在庫を資産に振り替える繰越商品 150仕入 150

この2本を切ると、仕入勘定の残高が自動的に売上原価(750円)になり、繰越商品勘定の残高が期末在庫(150円)になります。損益計算書にはこの仕入勘定の残高を「売上原価」という表示名で書き写すだけです。期末商品棚卸高そのものの計算方法(先入先出法や移動平均法)は商品有高帳で解説しています。

売上総利益を出して検算する

売上高と売上原価が求まったら、その差額が売上総利益(粗利)です。

売上総利益=売上売上原価売上総利益 = 売上高 - 売上原価

先ほどの例で売上高が1,000円なら、売上総利益は1,000 − 750 = 250円になります。簿記3級の勘定式の損益計算書では売上総利益を段階表示しませんが、売上総利益がマイナスになったり不自然に大きくなったりしたら、売上原価の計算を間違えている合図です。答案を提出する前の検算として使えます。

当期純利益の求め方

損益計算書の最終行に来るのが当期純利益です。1年間の活動の結果として会社の手元に残った利益であり、財務諸表作成問題ではここが合っているかどうかで大きく点数が動きます。当期純利益の求め方には複数のルートがあり、どのルートで出しても同じ金額になることを利用して検算できるのが強みです。

損益計算書から求める(差額で出す)

もっとも基本の求め方は、収益の合計から費用の合計を差し引く方法です。

当期純利益=収益の合計費用の合計当期純利益 = 収益の合計 - 費用の合計

勘定式の損益計算書では、収益を貸方に、費用を借方にすべて並べたうえで、左右を一致させるための差額として借方に書き込みます。金額がマイナスになる場合は当期純損失となり、貸方側に書きます。損益計算書だけを見て計算できるので、第3問で損益計算書を先に完成させる解き方と相性がよい方法です。

貸借対照表から求める(純資産の増加で出す)

もう1つのルートは、貸借対照表の純資産がどれだけ増えたかを見る方法です。1年間で稼いだ利益は、そのまま純資産の増加として残ります。

当期純利益=期末の純資産期首の純資産(増資などがある場合はその分を除く)当期純利益 = 期末の純資産 - 期首の純資産(増資などがある場合はその分を除く)

期首の純資産が5,000円で期末が5,100円なら、その期の当期純利益は100円です。ただし途中で株主から出資を受けた(増資した)場合、その増加分は稼いだ利益ではないので差し引いて考える必要があります。損益計算書で出した金額とこの方法で出した金額が食い違うときは、どこかで収益・費用と資産・負債の振り分けを間違えているということなので、見直しの手がかりになります。

3つの求め方を使い分ける

求め方使う場面注意点
収益 − 費用損益計算書を作る問題費用の集計漏れが起きやすい
純資産の増加期首・期末の資料しかない問題増資・配当があると単純比較できない
精算表の差額精算表を作る問題損益計算書欄と貸借対照表欄の両方で同額になる

試験でどのルートを選ぶかは、与えられている資料によって決まります。決算整理前残高試算表が与えられていれば1つめ、期首と期末の貸借対照表だけが与えられていれば2つめ、精算表の作成なら3つめです。それぞれの計算例と練習問題は当期純利益の求め方で詳しく扱っています。

当期純利益は貸借対照表のどこへ行くか

損益計算書で確定した当期純利益は、貸借対照表の純資産の部にある繰越利益剰余金に加算されます。これは仕訳としても実際に行われる処理で、決算で収益と費用をすべて損益勘定に振り替えたあと、損益勘定の残高(=当期純利益)を繰越利益剰余金へ振り替えます。この振替を行うことで、収益と費用の残高はゼロになり、利益だけが貸借対照表に残って翌期へ引き継がれます。損益計算書と貸借対照表が最後に1本の線でつながるのがこの処理です。

決算・精算表とのつながり(精算表と貸借対照表どっちに書く?)

損益計算書は決算という一連の手続きの最後に作られます。日々の取引を仕訳して総勘定元帳に転記し、決算日に試算表を作り、決算整理仕訳を加えて、その結果を財務諸表としてまとめる。この流れの終着点が損益計算書と貸借対照表です。そして、この決算作業を1枚の紙の上で見通しよく進めるための下書きが精算表です。

8桁精算表の右2欄が損益計算書と貸借対照表

簿記3級で扱う8桁精算表は、勘定科目ごとに4つの欄(残高試算表・修正記入・損益計算書・貸借対照表)が並び、各欄が借方と貸方に分かれているので合計8桁になります。左から右へ、決算整理前の残高に修正を加え、その結果を損益計算書欄と貸借対照表欄に振り分けていく構造です。

  • 残高試算表欄 — 決算整理前の各勘定の残高をそのまま写す
  • 修正記入欄決算整理仕訳の借方・貸方を該当する勘定の行に書き込む
  • 損益計算書欄 — 修正後の残高のうち、収益と費用の科目を書き移す
  • 貸借対照表欄 — 修正後の残高のうち、資産・負債・純資産の科目を書き移す

つまり精算表の右半分は、損益計算書と貸借対照表の下書きそのものです。精算表が解けるようになれば財務諸表作成問題も解けますし、その逆も成り立ちます。精算表の欄ごとの埋め方は簿記3級の精算表で手順を追って解説しています。

「この科目は損益計算書と貸借対照表のどっち?」の判定法

精算表を解いていて手が止まる最大の原因は、修正後の残高を損益計算書欄と貸借対照表欄のどっちに書くのか判断できないことです。判定の基準は1つだけで、その勘定科目が5要素のどれに属するかです。収益・費用なら損益計算書欄、資産・負債・純資産なら貸借対照表欄。それ以外の考慮は要りません。

迷いやすい科目書く欄理由
繰越商品貸借対照表期末に残っている在庫という資産
仕入損益計算書売れた分の原価という費用
前払保険料貸借対照表翌期分を先払いした権利という資産
支払保険料損益計算書当期に使った分という費用

左右が合わない差額が当期純利益

精算表を右端まで埋めると、損益計算書欄も貸借対照表欄も借方合計と貸方合計が一致しません。この2つの欄に現れる差額は、必ず同じ金額になります。それが当期純利益です。損益計算書欄では借方に、貸借対照表欄では貸方に書き足すことで、両方の欄の左右が同時にそろいます。

もしこの2つの差額が一致しなければ、それはどこかに転記ミスか計算ミスがあるという明確な合図です。精算表がミスの検出装置として機能するのはこの性質があるからで、決算の下書きにわざわざ精算表を使う理由もここにあります。決算全体の手続きの流れは簿記の決算にまとめてあります。

損益計算書の問題の解き方と練習問題

簿記3級の第3問は配点35点で、損益計算書と貸借対照表を作らせる財務諸表作成問題か、精算表の作成問題が出ます。ここは満点を狙う場所ではなく、部分点を確実に積む場所です。全部を合わせにいくより、確実に取れる箇所から埋める解き方のほうが結果的に得点が伸びます。

解き方の手順

  1. 問題文の決算整理事項を上から順に仕訳する — 答案用紙にいきなり書き込まず、問題用紙の余白に仕訳を書き出す
  2. 決算整理が不要な科目を先に写す — 現金・建物・借入金・資本金など、修正が入らない科目は試算表の金額をそのまま転記できる
  3. 売上原価を確定させる — 期首在庫・仕入・期末在庫の3つの数字を拾って計算する
  4. 決算整理が絡む科目を埋める — 貸倒引当金、減価償却、経過勘定の順に処理する
  5. 最後に当期純利益を差額で出す — 損益計算書と貸借対照表の両方でつじつまが合うか確認する

この解き方の要点は、2番目のステップにあります。決算整理と無関係な科目は考える必要がないのに、上から順に解こうとすると難しい論点で止まってしまい、簡単に取れたはずの転記の点まで落とします。まず埋まるところを全部埋めてから、考える必要のある箇所に戻る。時間切れのリスクをいちばん減らせる順序です。

損益計算書と貸借対照表の両方が問われるときの解き方

財務諸表作成問題では、損益計算書と貸借対照表が同時に問われます。1つの決算整理仕訳が両方の表に影響するため、仕訳を1本切るたびに両方へ書き込む解き方が効率的です。たとえば減価償却費を計上する仕訳は、損益計算書の減価償却費と貸借対照表の減価償却累計額を同時に動かします。仕訳を切ってから表へ、ではなく、仕訳1本につき2か所へ同時に反映と考えると転記漏れが減ります。

貸借対照表側の当期純利益の扱いにも注意してください。貸借対照表には当期純利益という行がなく、繰越利益剰余金に含めて表示するのが原則です。答案用紙の様式に「繰越利益剰余金」とだけ印字されている場合、そこに試算表の残高と当期純利益を足した金額を書きます。ここを試算表の金額のままにしてしまう取りこぼしは非常に多いので、最後の確認項目にしておくとよいです。

よく落とすポイント

ミスの種類起きる場面対策
表示名の書き間違い仕入と書いてしまう損益計算書は売上原価・売上高で書く
月割計算の漏れ期中取得の減価償却取得月から決算月までの月数を数える
繰越利益剰余金の据え置き貸借対照表の純資産当期純利益を必ず加算する
貸倒引当金の差額補充漏れすでに残高がある場合設定額から既存残高を引いた分だけ繰り入れる

練習問題で手を慣らす

損益計算書の作成は、理屈を理解しただけでは速くなりません。決算整理仕訳を反射で切れるようになるまで反復するのがいちばんの近道です。まずは決算整理仕訳そのものを繰り返し、次に精算表、最後に財務諸表作成という順で難度を上げていくと、途中で手が止まりにくくなります。論点別に解ける簿記3級の練習問題や、大問ごとの出題傾向をまとめた簿記3級の問題の記事も併せて活用してください。当アプリの仕訳ドリルでも、しーくりくりしーや減価償却といった決算整理の仕訳を繰り返し練習できます。

簿記2級の損益計算書(報告式・5つの利益・法人税等調整額)

簿記2級に進むと、損益計算書の形式そのものが変わります。3級の勘定式(左右2列)ではなく、上から下へ縦に並べる報告式になり、途中で5種類の利益を段階的に表示します。実際の上場企業が公表している損益計算書もこの報告式です。3級で身につけた「収益 − 費用」の考え方は変わりませんが、どの費用をどの段階で引くかという区分の知識が新たに必要になります。

5つの利益が段階的に現れる

報告式の損益計算書は、売上高から出発して、性質の異なる費用を順番に差し引いていきます。各段階で現れる利益には、それぞれ別の意味があります。

売上高から5段階で当期純利益まで絞り込む 売上高 − 売上原価 売上総利益 − 販売費及び一般管理費 営業利益 ± 営業外収益・営業外費用 経常利益 ± 特別利益・特別損失 税引前当期純利益 − 法人税等・法人税等調整額 当期純利益
報告式の損益計算書は売上高から順に費用を差し引き、5つの利益を段階的に表示する
売上総利益
売上高 − 売上原価。商品そのものの利幅を示す
営業利益
売上総利益 − 販売費及び一般管理費。本業でどれだけ稼いだかを示す
経常利益
営業利益 ± 営業外収益・営業外費用。受取利息や支払利息など財務活動まで含めた実力を示す
税引前当期純利益
経常利益 ± 特別利益・特別損失。固定資産売却益などその期だけの臨時の損益を反映する
当期純利益
税引前当期純利益から法人税等を差し引いた最終の利益

法人税等調整額とは

2級で新しく出てくるのが税効果会計と、そこで使う法人税等調整額です。会計上の利益と税務上の課税所得は計算ルールが違うため、そのままでは税引前当期純利益と法人税等の金額が対応しません。このズレのうち将来解消するもの(一時差異)を調整して、利益と税金の対応関係を整えるのが税効果会計です。

調整額は損益計算書の「法人税、住民税及び事業税」の直下に法人税等調整額として表示し、加算または減算します。相手勘定は貸借対照表の繰延税金資産または繰延税金負債です。2級で問われるのは、貸倒引当金の繰入限度超過額、減価償却費の償却限度超過額といった典型パターンが中心です。詳しい仕訳の型は簿記2級の記事で扱っています。

2級の解き方で3級と変わる点

2級の財務諸表作成問題では、損益計算書と貸借対照表のどちらが問われても、まず区分をどこに置くかを判断してから金額を書くという一手間が加わります。同じ支払利息でも、営業外費用に入れるのか手形売却損として扱うのかで表示位置が変わるためです。3級のように「収益か費用か」だけでは足りません。

貸借対照表側も、資産が流動資産と固定資産(有形固定資産・無形固定資産・投資その他の資産)に、負債が流動負債と固定負債に区分され、純資産の部には株主資本以外の項目も現れます。解き方の実務的なコツは、答案用紙にあらかじめ印字されている区分の見出しを先に読み、どの区分に何行あるかを確認してから埋め始めることです。区分ごとの小計を出す必要があるため、途中で1科目ずれると小計以下が連鎖して崩れます。3級より配点の集中度が高いぶん、順序の管理が得点を左右します。

まとめ

損益計算書は、1年間の収益から費用を差し引いて当期純利益を出す決算書です。決算日の残高を示す貸借対照表とは、測っている時間(期間か一時点か)と載る勘定科目(収益・費用か、資産・負債・純資産か)が違います。この2軸さえ押さえていれば、どの科目をどちらの表に書くかで迷うことはほとんどなくなります。

  • 損益計算書(P/L)は1年間の成績表。収益 − 費用 = 当期純利益
  • 貸借対照表(B/S)との違いは「期間か一時点か」。覚え方は動画と写真の対比
  • 売上原価の求め方は 期首商品棚卸高 + 当期仕入 − 期末商品棚卸高。仕訳はしーくりくりしー
  • 3級の書き方は勘定式。仕入売上原価、売上売上高と表示名を読み替える
  • 当期純利益は損益計算書の差額でも、純資産の増加でも、精算表の差額でも同じ金額になる
  • 2級は報告式になり、5つの利益と法人税等調整額が加わる

そして、損益計算書を正しく作れるかどうかは、最終的に決算整理仕訳を正確に切れるかどうかで決まります。売上原価の算定、減価償却、貸倒引当金の差額補充、経過勘定の4つは毎回のように問われる論点です。読んで理解した直後に手を動かしておくと、本番で考え込まずに済みます。当アプリの仕訳ドリルは日商簿記の第1問と同じ形式(勘定科目の選択と金額入力)で決算整理仕訳を1問ずつ練習でき、間違えた問題は復習キューに入って自動的に出題間隔が調整されます。損益計算書の作成でつまずいたら、その手前の仕訳に戻って積み直してみてください。

読んだら、手を動かす。

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